モンテッソーリ教育 教師養成講座体験記 第2回 〜 スクリーニングでの気づき
第1回目の記事からだいぶ間が空いてしまいたが、1回目の記事を多くの方にお読みいただきありがとうございます。その後、8日間のスクーリング(通い授業)を終え、8月、9月、10月と毎月の課題を提出し終え、残るは11月と12月、そして3月の卒業試験です。
今回の記事では、8月に実施された、8日間のスクーリングについてお伝えしてみたいと思います。ちなみに、私が受講している講座は、学研が母体となっている、「日本モンテッソーリ教育綜合研究所」になります。現在、2018年度の教師養成通信教育講座のお知らせもでていますので、ご興味のある方は下記のリンクから公式サイトをご覧下さい。ちなみに、2018年度からはインターネット出願(web出願)ができるようになるようです。
2018年度「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座」について
スクーリング
場所と日程について
8日間に渡るスクーリングは、2017年度は五反田にあるTOCビルにて実施されました。朝9時20分~16時45分まで、1コマが90分の授業があり、午前と午後の授業に分かれています。放課後が設定されており、環境の提示であったり、教具の自由練習時間などがあります。また、お昼休みが1時間ほどありますが、授業が延びて1時間フルに取れる日はほとんどありませんでした。
今回、0-3歳コースを受講しましたが、毎年受講生が増えているということで、今年は約80名が全国津々浦々そして、海外からも参加していました。最初の日に自己紹介タイムがあり、その時の話では7割くらいの方が保育園、幼稚園、小学校などの先生や経営者、幼児教室関連の方だったような印象を受けました。既にモンテッソーリ教育を取り入れている園の先生方も多くいらっしゃいました。また、私と同じくワーキングマザーで、モンテッソーリ教育に興味を持ち、夏休みをとって受講しにきている方もいらっしゃいました。受講生は、北は北海道、南は沖縄、アメリカ、インドネシアと、遠方からもスクーリングのために参加されており、モンテッソーリ教育に対する関心の高さと様々な地域でのモンテッソーリ教育の取り組みについて知る機会となりました。
- 内容について
スクリーニングの内容は、モンテッソーリ教育のみならず、音楽、美術、医学などの授業もあり、0-3歳の発達に関係する項目が用意されています。モンテッソーリ教育関連では、
- モンテッソーリ女史の生涯と業績
- 実践理論
- 0-3歳の発達
- 環境論
- 大人の役割
- 運動論
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 言語教育
などを学びます。
<0−3歳コーステキスト>
8日間の前半は、座学が多く講義が中心となります。テキストと、配布資料がベースとなりますが、講師の先生が話されるエピソードや内容などが後々課題に繋がっていることが多くありました。座学に関しては、元々の受講目的であった、「モンテッソーリ教育を体系的に学ぶ」ということがカバーされており、各項目について、0-3歳、3-6歳との違いや、脳科学的な視点、モンテッソーリ流の環境づくりや大人の役割、子供の時期ごとの発達や敏感期などについて詳しく学ぶことができます。
後半では実際に演習や提示などの時間が多くなります。特に後半の提示では、私自身が初めて、モンテッソーリの先生方の「提示」を見たためかもしれませんが、非常に丁寧でわかり易いだけでなく、モンテッソーリの書籍で言及されている、子供に「動き方」や「やり方を」示す(提示)時に言葉と動作を一緒に行わず、さらに根気よく続けることの意味を初めて理解することができました。
「提示」とは、用具や教具の使い方を子供が理解できるような形でやってみせることなのですが、大人と子供の理解の仕方は異なり、いかに子供の目線で提示ができるか、ということが重要です。本などでは読んでいたものの、中々腑に落ちなかった部分でしたが、実際に目の前で実演していただくことで非常に理解が深まりました。
ご参考までに、相良先生が監修をされた書籍『一人で、できた!』(サンマーク出版、相良敦子監修 池田政純 池田則子 著)での「提示」についての説明を紹介します。
このように、文章で読むと難しそうですが、実際に、言葉と動作を同時に使った説明よりも、動作だけを丁寧に行う提示は、私にも分かりやすく感じました。
また、先生は子供がたとえ何かやり方が違っていたとしても、それを否定せず、提示によって子供本人が自主的に気づくことを促すということも教えてくださり、演習を通じて理解するロールプレイを体験しました。グループで演習は行うのですが、わからない時には講師の先生にお手本となっていただきました。自分が子供役を体験することで、先生の提示や誤りの訂正をしないということの本質を身体で理解することができました。
慣れない分野の理解に深みをつけるために、本講座にスクーリングがあるというのはとても有益だと思います。また、講師の先生に直接質問できる機会はスクーリングの8日間しかないので、とにかく質問があればここで聞くのが一番です。
-
8日間を終えての感想
今回、8日間のスクーリングを終えての感想ですが、モンテッソーリ教育とは、「子供を科学したメソッドであり、科学的根拠に裏打ちされていること」を改めて実感しました。また、また、詳しくは知らなかったモンテッソーリ女史の生涯を学ぶことも意義深かったです。モンテッソーリ女史が優秀な女医であり、教育者としての道に移り、二回の大戦を経験し戦時中にイタリアを離れざるを得なかったといったエピソードや、敬虔なキリスト教徒だったモンテッソーリ女史が生み出したモンテッソーリという教育が、平和教育と言われる所以も理解することができました。
また、スクーリングでは素晴らしい先生方との出会いにより、本ではわからない子供への接し方や、本当の意味で子供を尊重するとはどのようなことかなども学びました。
モンテッソーリ教育と聞くと教具や環境ばかりに目が行きがちですが、科学的根拠に裏打ちされた理論とそのベースにある子供への愛と尊重こそが、モンテッソーリ教育の真髄なのだと学ぶことができました。
また、受講するまではモンテッソーリ教育は用具や教具が揃っていないと実践できないと思っていたところがありましたが、授業で講師の先生方が強調されていた事なのですが、一番大切なことは「マリア・モンテッソーリの考えや教育法の本質を学ぶこと」であり、特に0−3歳を対象とした場合には、決して教具がなければ実践できない事ではなく、家庭で取り入れることができる教育法だと感じました。と同時に、経験のある講師の先生のお話や実際に子供に対する接し方、園でのエピソードをお伺いすると、そういった素晴らしい環境があればぜひ通わせたいとも同時に思いました。
受講のポイント
振り返ればあっと言う間の8日間でしたが、個人的に感じた受講のポイントをまとめてみたいと思います。
1) 体調管理が一番大切(家族含む)
1科目でも落としてしまうと来年再受講になります。遅刻早退は最初と最後20分以上遅れたら対象となるので気をつけてください。また、8日間連続の休みなしの8時間近い勉強となりますので、思いのほか体力的には消耗します。とにかく体調管理が一番だと感じました。特に子供がいる場合には、子供の急な発熱なども想定されるので、事前にサポート体制を整えておくことをお勧めします。
2) 日々の復習
毎日、90分、4コマの授業を受けたり演習をするため、とにかく日々復習しないと、すぐ忘れてしまうので、毎日習ったことを振り返ることが大切です。
3) 教具について
スクーリング期間のみ、教具が展示されています。ただこちらも日によって入れ替えなどがあるため、なるべく教具を見てさわり、また写真を撮るなどして、多く触れる機会を持つ事が大切だと思いました。
4) わからない事はとにかく質問する
実際に先生に直接話が聞けるのはこの8日間のみなので、とにかくどんな小さいことでも、よく分からないと思ったことは8日のうちに解消することがお勧めです。
5) クラスメイトとの助け合い
この8日間で、できればスクーリング後も一緒に色々と相談できる友人ができたことはとても心強く、その後の課題の提出なども励ましあえるので、是非周りの方と色々とお話してみるのがお勧めです。
6) テスト内容やテスト勉強対策について
授業の最後に、講師の先生方や資格を取られた方がどのように試験対策をされて勉強されたのかについてもアドバイスがあり、大変貴重です。基本的に、落とすための試験ではないということなのですが、きちんと学ぶ姿勢が問われていると思います。
以上六点、どのような講座を受講した時にも共通する点かもしれませんが、大切なポイントをまとめてみました。
最後に、授業でも紹介されていた、アメリカのモンテッソーリ園での様子のビデオを紹介します。こちらの動画を見ると、先生がいかに、介入せず子供たちが自主的に学んでいるかがよく分かるかと思います。また、子供たちが自主的に取り組めるように、環境が整備されている点も着目してみてください。
次回はスクーリング後の課題提出について書きたいと思います。
関連記事:
著者プロフィール
島田 敦子
教育関連企業、自動車メーカー、IT企業でのマーケティング職を経て、米系機関に勤務。現在はIT業界に関連したリサーチや、ビジネスコンサルなどに携わる。2004年頃からダイバーシティプロジェクトに参画したことをきっかけに、ワーキングマザーの取材やイベント活動などをプライベートで実施。妊娠・出産を機に次世代教育や、AI時代の教育に興味を持つようになり、現在はモンテッソーリ講師養成講座を受講中。一児の母。
慶應義塾大学総合政策学部卒