小学校受験を考えられている新年中や新年長のパパやママは、塾選びや、学習習慣や家庭環境の整備など、色々迷われたり奔走されているのではないでしょうか?かくいう私も、二人の子供の幼稚園のお受験、小学校受験、そしてオルナタティブスクールへの転校など経験してきました。その過程で、小学校選びは子供の意思で決められるタイミングでは無いので、親が積極的にリサーチをしたり、考えることが、より良い選択に繋がってくるのだと後から身にしみて感じました。
小学校は幼稚園から劇的に環境が変わる上に、子供が幼児から青少年に一気に成長するとても変化の激しい時期でもあります。子供が成長する過程で 気づくことや考えさせられる事だらけですが、この6年ほどで2カ国で3つの幼稚園、3つの小学校を経験し、少しずつ自分の考えも進化してきました。
その過程で一つ分かったことは、小学校の環境によって、子供達に育まれる力は大きく変わる場合もあるということです。
どのような環境でも適応する子供達が多いとは思いますが、幼稚園の頃から徐々に顕在化されてくる子供それぞれの興味、関心、学び方、性格などによって、よりその子がその子らしく成長できる環境を考えてあげることで、子供達が興味のあることにどんどん挑戦をして自信を育み、自立や自律をする心や、他者との関わり方を育んでいきます。もちろん外からみるのと中に入ってみるのは大きく違いますし、100%理想の環境を構築することは難しいですが、意識して考えることで、徐々に学校を含めたトータルの生活環境が子供と家族にとって良い方向に向かっていけると実感しました。
そこでとても大切だと気付かされたことが、親が子供にこうあって欲しいという思いと、子供一人一人が持つ個性とのバランスです。
以下はあくまでざっくりとした特徴ですが、これからお子様とご家庭にあった小学校生活を考えられる上で参考になれば幸いです。また私の経験則で分かっていることはあくまで限られた範囲です。皆様のコメントもお待ちしております!
公立小学校
メリット:
- 学費がほぼ無料
- 公立によっては、英語教育に力を入れたりとか、小中一貫校など、特色を出そうとしている学校もあるようです
- 基本自宅から徒歩で通える範囲内にあるので、近所のお友達づきあいがしやすい
- 防災の観点から、自宅の近くに学校があるというのは安心感がある
- 働くパパママにはありがたい、放課後施設が学内に併設のことが多い
- ダイバーシティという観点では、近隣の家庭のお子さんが来るので、私学より生徒や家庭の多様性は大きい
- スポーツや音楽など、一芸にフォーカスされている場合、学業の負担は私学より少ない
デメリット:
- 校長先生によって、学校運営が大きく変わることがある。任期は通常3-5年だそうなので、評判が良いと思って通わせたら、校長先生が変わり、学校が大きく変わってしまうというリスクはあります
- 私学の場合は、建学の精神から、ある程度学校ごとのカラーというものがあるので校長先生の影響は大きいものの、ハシゴを外されることは比較的少ないと思われる
- 現在公立は先生不足ということもあるので、当たり外れも大きいいう話も聞きます(これはどの学校でもあることですが)
- 中学受験が多い都内だと、3-4年生から塾に通う子供たちが激増するので、受験を考えてない家庭も、その雰囲気にひきづられやすいようです
- 学校によっては、授業が成立しづらい場合もあるので、現在通っているご家庭の話は聞いておくことは大切です
知っておくと良いかも:
- 学校全体の取り組みとして、給食の食育的な観点や、親の参加、コミュニティのあり方が、学校によってかなりバラツキがあるようなので、近くのそれぞれの学校の特徴は、先輩ママパパに聞いておくのが良いと思います。特に共働きの家庭の場合は、PTAのあり方が日々の生活に影響することもありますので、お気をつけ下さい!
- 区によっては食育に力を入れていたり、ICT教育に力を入れていたり、公立でも私立並みの施設の学校も見かけることがあります。小学校受験を検討されているご家庭も、近くの公立を見学に行かれると、驚くこともあるかもしれません。
私立小学校
メリット:
- 建学の精神に乗っ取った教育を行うので、入学前に、学校の目指す育成したい子供像が明確にあります。
- 伝統校の場合は小学生という土台の時期に通うことで、長年の学校の文化を受け継ぐ(これはデメリットの場合もありますが)ことを期待されるので、中学から私学に通うよりも、それぞれの学校のカラーを継承することを期待されます。
- グローバル(英語)教育を取り入れる校、探求学習に取り組む学校、ICTを活かした教育を実践する学校、IB(インターナショナルバカロレア)の認定校など、新しい時代に合わせた特徴をアピールする学校も増えてきていますが、伝統を大切にする学校も多くあります(キリスト教の精神、建学の精神を中心とした児童のあるべき姿など)。名門校は特に、OBOGとの関係性もあり、伝統を重んじる傾向は強いように思われます。
- 中高や中高大が併設されている場合、受験をせずに進学できる可能性がある(どの程度の人数が上がれるかは、学校によって様々です)。受験がない場合は、6年間比較的のびのびとした小学校生活をおくれる
- 施設が充実している学校が多い(特に、運動系、英語、ICT 環境)です
- 英語に力を入れる学校の場合、交換留学制度や姉妹校がある学校もあります
デメリット:
- 学費だけでなく、指定品の購入や、通年の宿泊行事、部活動などの追加費用もかかります。
- 生徒の多様性は、公立に比べると少ないです。国籍も日本人の家庭が大半です。
- 中学以降に付属校がない場合や、中学に上がることが約束されていない学校も多いので、その場合は、3−4年から塾通いのお子さんが増えるので、宿題の多い学校の場合、学校の宿題はやらないのかなど英断が必要な場合もあります。
- 学校によっては、保護者の負担(製作物、平日の保護者会など)のボリュームは大きくなります
知っておくと良いかも:
- 私学は、現在ICTを取り入れた教育や英語活動など、特徴を出すために様々な改革を行なっている学校も増えているようです。説明会や行事に参加するだけではなく、現在お子さんが通っているご家庭のお話を聞くことができると、入った後の期待とのズレが少なくなると思います。特に私学は宿題が多かったり、家庭の参加やボランティア活動を求める学校も多かったり、保護者会が平日にあったりするところもあるので、働いているママにとっては、学校生活だけでなく、親の関わり方という観点での情報収集もされることをお薦めします。
インターナショナルスクール
メリット:
- 学校によりますが、多国籍のお子さんが通っている場合が多く、日本にいながら様々な文化のお子さんと交流ができます
- 日本の学校に比べると、ICT環境は整備され、メーカースペースなども装備されている学校もあります
- 学校ごとに、IB(インターナショナルバカロレア)校や、日本と教育に力を入れている学校など、特徴がはっきりしています
- 小学校でIB (Primary Year Program)を実践している学校は殆どが現状はインターナショナルスクールとなりますので、IB教育を小学校から一貫して受けさせたいというご家庭には、インターナショナルスクールは良い選択肢かもしれません。
- 海外留学を考えているご家庭にとっては、圧倒的に情報量が増える環境になります
- それぞれの学校の規模が小さめなので、学校を跨いだ行事も数多くあります
- 生徒と先生の比率が、日本の学校と比べると低い。(先生一人当たり、生徒が15-20名程度の学校が大半)
デメリット:
- ご家庭が英語の得意な家庭でない場合に、宿題をどうフォローするかという悩みは発生します
- 学校によっては、グラウンドが狭小であったり、様々な施設は学外のものを利用するというところもあります
- 一部の学校を除くと、日本の小学校卒業資格は得られません。(日本の公立に在籍しながら、通うお子さんもいらっしゃるようですが)
- 学費が最も高いですが、最近、インターナショナルスクールでも、様々な学費の学校も出てきているようです
- ご両親の関係で、転校となってしまう場合も多く、友人関係を長く持ちたい場合には、リスクがあります
- 学校によっては、先生も転勤のペースが早い学校もあるようです
- 中学以降に付属校がない場合や、中学に上がることが約束されていない学校も多いので、日本の小学校卒業資格がない場合は、他のインターナショナルスクールに行くか留学という選択肢になってしまいます。(インターナショナルスクールは、中体連に属していないので、スポーツに注力をしているご家庭は要注意です)
- 国籍の多様性はありますが、恵まれた家庭のお子さんが殆どだといえます。小学校では大きな問題ではないですが、中学、高校と上がって行った時に、この限られた世界を良しとするか、ご家庭の判断とプライオリティが問われると思います。
知っておくと良いかも:
- 学費の補助が国からないインターナショナルスクールにお子様を入れる場合、多くの方々は英語を心配されて選ばれることが多いと思います。ただ、100%英語の学校の場合、日本語の能力が急激に落ちますので、どうやって母語を育てるのかという大きな課題と直面することになります。日本語が母語のご家庭の場合、そこの方針をある程度固めてから入学をされることをお薦めします。
他にも、オルナタティブスクール(フリースクールとも言われる)、ホームスクーリング、アンスクーリング、山村や島留学など、従来型の学校に行かない学びの環境というのも選択肢としては出てきています。海外では、「今年は家族でホームスクーリングをしながら旅行をして、来年から学校に通う」というご家庭にも出会ったことがありますが、近くの学校に通うという選択肢だけではないということを感じていただければ幸いです。
最後に、私の大好きな言葉で、イギリスの教育改革者の Sir Ken Robinson 卿の以下の言葉があります
「子育ては園芸に似ている。植物は、適切な環境があれば、自然に育つんだ。工場のように、茎に葉っぱや花をくっつけて大きくなるものじゃ無い。子供たちも適切な環境があれば、自ら成長できるんだよ。」
子供は、幼児らしさの残る1年生から、自己の考えをはっきりもち、自立し始める6年生へと6年間で劇的な成長を遂げます。中学生になると親の与える影響はどんどん少なくなっていくので、親子でじっくり向き合える小学校時代をどのように過ごしたいのか、ぜひ家族でデザインされてください!