「学び」を考える40冊の最終日は、”子ども部屋に置きたい、親子で読みたい本たち”がテーマです。保護者や小中学生の教育者の方々がセレクトされた絵本、書籍、コミックなどをご紹介します。読み聞かせや親子での対話の土台にご活用頂ける本もありますよ。
Part 1: 保護者や教育者としてのあり方を考える (12/26)
Part 2: 多面的にこれからの「学び」のあり方を考える (12/27)
Part 3: 「深い学び」を楽しむ人になる (12/28)
Part 4: 子ども部屋に置いておきたい、親子で読みたい (12/29)
幼児〜小学校低学年向け
十二支のお節料理
著者:川端 誠
大型本 : 31 ページ
出版社: BL出版 (1999/12/1)
推薦者:吉川まりえ、Future Edu 理事/ 環優舎主宰
おすすめポイント:「鮮やかな木版画でお正月の賑やかさと静けさ、慌ただしさと厳かさをとらえた絵本。一ページ、一ページ、お子さんとの会話を楽しみながらめくってください。大人になっても心に残る一冊になります。」
編集部から:十二の動物たちがそれぞれお飾り、料理番など役割を担当してお節料理をつくるというお話。お正月絵本の定番です。
Phoebe Worthington (原著), Joan Worthington (原著), フィービ ウォージントン (著), ジョーン ウォージントン (著), まさき るりこ (翻訳)
単行本(絵本):28ページ
出版社: 童話館出版 (1997/7/1)
推薦者:Mutsuko
おすすめポイント:「朝起きてから夜眠るまでの一日を描いただけの絵本ですが、子どもには興味深いようです。正木るり子さんの翻訳が素晴らしく、リズムよく楽しく読めます。」
こんな人に読んでほしい:「未就学児への読み聞かせをする大人、ひとりで読める未就学児・低学年」
編集部から:翻訳が素晴らしく、リズムよく楽しめる絵本は、美しい日本語を親しむに最高のパートナーですね。ゆうびんや、パンやさん、うえきやさん、せきたんやさんの四作品から出版社は変わっていますが、同じ訳者の先生でシリーズとしての統一感は保たれているので違和感は無いようです。
気になる方は、くまさんシリーズの一覧、こちらからご覧ください。
ミュリエル・マンゴー (著)、カルメン・セゴヴィア (イラスト)、 とき ありえ(翻訳)
大型本:26ページ
出版社:西村書店 (2007/8/1)
推薦者:吉川まりえ、Future Edu 理事/ 環優舎主宰
おすすめポイント:「少し文字が多いのでお正月休みが終わるころにゆっくりと読んであげてください。大人もアッと驚く展開です。光陰矢の如し。成人式はすぐです。子どもが子どもでいる時間を楽しみましょう。」
編集部から:日々生命力一杯に生きているお子さんたちには死は身近ではないし、あまり考えたくないと感じることかもしれません。死がなければ生も無いという生態系の連鎖という大きなテーマと、愛するお母さんの死の間に立たされる主人公。お子さんの年齢によって様々な対話につながりそうな一冊。
小学校中学年向け
そうだいすぎて気がとおくなる宇宙の図鑑
監修者:渡部 潤一
単行本: 175ページ
出版社: 西東社 (2019/12/5)
推薦者:吉川まりえ、Future Edu 理事/ 環優舎主宰
おすすめポイント:「壮大すぎて「ちっぽけな地球で何やってんだ俺たち?」という気持ちにさせられます。」
編集部から:産業的にも盛り上がっている宇宙ですが、2022年はジェイムス・ウェッブ宇宙望遠鏡や宇宙旅行など、宇宙の話題に事欠かない一年でしたね。壮大さをイマジネーションあふれる子ども時代に体感しておけると、地球のいざこざを大きな視点で捉えることができそうですね。
上谷 実礼 (監修)、杏乃 (イラスト)
単行本:160ページ (2021/12/1)
出版社:KADOKAWA
推薦者:吉川まりえ、Future Edu 理事/ 環優舎主宰
おすすめポイント:「ライフスタイルテストや学園マンガなど、小学生が共感して読みやすいような仕掛けが沢山。占い本のような作りですが、お悩みアドバイスは公認心理士で医学博士の先生がアドラー心理学をベースに監修した本格的な内容。男子にもおススメです。みんなの目が気になる年齢の男の子にはブックカバーをかけてこっそり読める環境を作ってあげましょう。」
編集部から:私が小学生の頃は、心理学という言葉さえ知りませんでしたが、占いは流行ってました。科学的な見地になった良質な知識を、交友関係が気になり始める中高学年の子どもたちが自ら学べるのは良いですね。
小学校高学年向け ~ 本棚に置いておきたい4冊セット
推薦者の吉川さんから「インターネットで世界中の若者がつながって地球のために立ち上がりはじめたとき、富の半分が超富裕層に集中し経済格差が広がる世界で、あっという間にコロナが地球を覆いつくした。私たちは繋がっているのか、分断しているのか? コロナやオリンピックは世界を一つにした? どうして戦争は終わらないんだろう? だれだっていい場所に移りたいよね。自分がトクするように行動してきたから、ヒトはほかの生き物に負けずに地球の支配者になれた。法律は問題を解決してくれるかな? 全部読んだらますます世の中のことが分からなくなるかも。」
1冊目:人類の物語 Unstoppable Us ヒトはこうして地球の支配者になった
ユヴァル・ノア・ハラリ (著)、 リカル・ザプラナ・ルイズ (著)、西田 美緒子 (翻訳)
単行本(ソフトカバー):168ページ (2022/11/22)
出版社: 河出書房新社
バウンド (著)、 犬飼佳吾 (監修)
単行本(ソフトカバー):128ページ
出版社:カンゼン (2022/7/15)
バウンド (著)、船橋洋一 (監修)
単行本(ソフトカバー):128ページ
出版社:カンゼン (2021/3/15)
山崎 聡一郎 (著)、 伊藤ハムスター (イラスト)
単行本:202ページ
出版社:弘文堂 (2019/8/20)
推薦者:吉川まりえ、Future Edu 理事/ 環優舎主宰
小学校高学年以上におすすめ。親子での対話にも
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
著者:ブレイディ・みかこ
文庫:336ページ
出版社:新潮社 (2021/6/24)
推薦者:富岡万里子、FutureEdu 編集部
おすすめポイント:「 イギリスの底辺中学校に通う息子さんの身のまわりで日々起こる、格差や人種に関わる出来事と、その中での親子の会話が、解像度高く描かれているノンフィクションです。 著者自身が、本に書かれている出来事を「マクロなニュースでは伝えられない、地べたにころんと転がった焼き鳥の肉」と表現されており、「まさに!」と思いました。 」
編集部から:2019年にノンフィクション大賞を取った作品。二作とも文庫化されているので、読み損ねていた方にお薦めです。
エーリヒ・ケストナー (著)、 ヴァルター・トリアー (著),、光吉 夏弥 (翻訳)
単行本: 80ページ
出版社: 岩波書店 (1954/12/10)
推薦者:きょろちゃん
おすすめポイント:「 こういうご時世に、教えてもらうではなく、一緒に対話を」
編集部から:ウクライナを始め、世界ではまだまだ戦争や紛争が絶えません。今だからこそ親子で読みたい一冊です。
ペーター・ヘルトリング (著), クリスタ・ジーペン (イラスト)、上田 真而子 (翻訳)
単行本: 338ページ
出版社: 偕成社 (2005/6/1)
推薦者:山ちゃん
おすすめポイント:「自分の感じていることや考えをうまくことばにできないことは、大人でもよくあることだと思います。ヒルベルやその周りの子どもたちの眼から見た物語を読んでみれば、見つかることがいろいろあるかもしれません。保護者の方に、ぜひ読んでいただきたいです。 」
こんな人に読んでほしい:「 保護者の方に、ぜひ読んでいただきたいです。」
浦沢 直樹 (著)、勝鹿 北星 (ライター)、 長崎 尚志 (ライター)
単行本: 338ページ
出版社: 小学館 (2011/8/30)
推薦者:山中裕斗、マグナパーティ・プロデューサー
おすすめポイント:「 イギリスの特殊空挺部隊SASの元教官で、オックスフォード大卒の考古学者であり、保険会社のオプ(探偵)という異色の経歴を持つ男が難題を次々に解決。世界各地で繰り広げられる物語がきっかけで、自分は「ここ行ってみたいな」と世界や歴史に興味を持つようになりました。 」
こんな人に読んでほしい:「 小学校高学年以上にお勧めです!保護者の方が読んでも面白いと思います!」
編集部から:わくわくするといった心の動きは、脳科学的な見地からも、定着する学びには不可欠です。良質なコミックスは日本が誇れる学びのリソースですね。
注釈:こちらに紹介した書籍は、1988年から1994年にかけて小学館『ビッグコミックオリジナル』に連載された作品が完全版として復活したコミックスです。雑誌掲載時の4色2色ページを完全再現したA5判の豪華版だそうです。(出典:ウィキペディア、小学館ウェブサイト)
推薦者:山ちゃん
おすすめポイント:「今の日本はどんな歴史からできあがってきたものなのか、古代から続く長い物語を漫画で楽しく読むことができます。」
こんな人に読んでほしい:「 小学生から大人まで、全ての人にオススメです。」
編集部から:文字だけだと無味乾燥ですが、マンガになっていると関心も高まりやすいですよね。我が家では、ねこねこ日本史がはやりましたが、今も記憶に残っている史実が結構あるようです。
中学生以上におすすめ
著者:山口 つばさ
コミックス: 224ページ
出版社: 講談社 (2017/12/22)
推薦者:山ちゃん
おすすめポイント:「学業も友人関係もそつなくこなす主人公、矢口 八虎があるきっかけで美術大学の最難関、東京藝術大学を目指すおはなし。進路に迷っていたり、将来どうしようか考えている人におすすめです。」
こんな人に読んでほしい:「 中学生、高校生、大学生にオススメです。」
編集部から:2017年に連載が開始し、現在(2022年12月時点)13刊が発売されている、現在進行形の作品。2021年にはアニメ化もされたそうです。なんとなく日々楽しく生きるのではなく、辛くても、好きなことを極めることを目指す決意をした矢口 八虎のキャラクターがどう成長していくのか気になります。
番外編:子どもの安全を守る
子どもは「この場所」で襲われる
著者:小宮 信夫
コミックス: 189ページ
出版社: 小学館 (2015/12/1)
推薦者:Mutsuko
おすすめポイント:「犯罪の起こりやすい場所、機会を見極める力を養い、トラブルから身を守ることを提唱している本です。インターネット上の場所もリアルの場同様の読み解き方で犯罪の起こりやすい場所を理解し、犯罪から身を守ることができるそうです。」
こんな人に読んでほしい:「 登下校、習い事の行き帰り、インターネットの利用など、行動範囲が広がってくる時期のお子様をお持ちの保護者に。」
編集部から:人相ではなく、危険な場所がどこかを知っておく、というのは米国でも当たり前ですが、確かに日本では子ども達に場所の危険性というテーマでは話を聞いたことが無いなと気付かされました。
企画編集:竹村 詠美